2019年 08月 22日
ヤバイ!せまる時間。
オットセイの2匹は、1日のうちに5回、アシカショーの合間にステージに出てトレーニングをしています。この時間が2匹にとってご飯の時間でもあります。
おりこうさんモードの場合、トレーニングをある程度やってご飯が無くなってくるとサインで部屋に帰るのですが、おりこうさんでない場合が最近多い。
今日の失敗は、メスのふうチャンのトレーニングに重点を置いて、そのぶんオスのかいクンは簡単なトレーニング、できることの確認などの軽いことをやっていたこと。単調でワクワク感がなかったのでカイが飽きてしまったんです。「もうやーめた!」と暴走。動きが早いので「いかん!ヤバイ!」とこちらが思った時は時すでに遅し。プールに入って高速遊泳開始。
「あぁ、しまった。。。」この時になって初めて単調だったトレーニングが失敗だと気付いて後悔だわね。うぅ、なぜやってる時に気が付いて軌道修正できなかったんね。アタイがバカやってん。アタイが悪かってん。
1人(1匹)で勝手に暴走してくれていればまだいいですが、コイツ、おりこうさんに頑張っていたふうチャンのそばに行って「おい、オマエもサボろうぜ!」と誘う。そして簡単に誘いに乗ってしまうふうちゃん。仲良くプールで高速遊泳大暴走開始。水しぶきバッサバサ。
ステージで立ちつくしそれを見ているしかない我々トレーナー。
「すんません。。。」
一度集中力がプツッっと切れて、こうなると疲れて気が済むまでステージ上には上がって来ません。部屋へは帰りません。エンジン全開。
打開策としてはプールに強力な電流を流せばきっと驚いて上がってきて部屋に逃げ帰るでしょうけど、そんなことはしません。あとはプールの水を抜いて追いかけて部屋に帰すなど。
部屋に帰す方法は結構あるのですが、要点として彼らが自主的に帰らないといかんのですね。イヤイヤ帰す、強制的に帰すというのはその場しのぎの対策で、あとあと響きます。怖いことされる!って思ってしまい、もうステージに出なくなっちゃったりとかしますね。トラウマというやつですかね。
この状況になったのが14時10分。状況が変わらずヤベェなぁコリャ、と思い始めたのが14時35分。
14時35分のころは、2匹はこちらをバカにするような態度および目つきで、チラチラこちらを見て来てプールを泳ぎ回り、ときどき上がって来るけど近寄るとプールにまた逃げる。挑発的態度なので「おめーら、チョーシこきやがって…、いいかげんにしとけよぉ…」という気持ちになってきます。
14時50分になると、かいクンは気がすんで、泳ぎ疲れたのか明らかに部屋に帰りたい顔色。帰るそぶりを見せるのですが、すかさず後ろからエンジン全開のふうチャンが「まーだーあーそーぶーのぉー!」と言ってかいクンをプールへ誘います。
14時55分。ヤバイのである。あと5分。15時からアシカショーなのです。
アシカショーはベテランアシカ(オタリアという種類)のラブちゃんが担当。今暴走しているオットセイは全然練習中の身分なのでショーができる状態ではない。オットセイがプールで暴走中の中、ラブちゃん登場でショーができるかというと、さらに混乱乱闘最悪血しぶき状態になりかねないので絶対無理。どうしたもんかと頭を高速回転。
①お客さんに事情を説明して今回のアシカショーはできないと謝る。(せっかく楽しみにしていてくれたお客さんに申し訳ない。)
②このオットセイ暴走状態を解説して、これをショーとして成立させる。(かなり強引。トーク力が成功か失敗かのすべてを握る。)
③トレーナーの誰かがアシカ役になり、人間アシカショー。(スベル可能性大。その後の精神的被害があまりにも大きすぎる。)
④早くオットセイを部屋に帰して、帰り次第すぐにラブでアシカショー。(安全。)
できれば④で行きたい。しかし現段階では帰らないオットセイ。
そして15時になっちゃったんだよね。時間て焦っている時って早く進むよね。
対策としてプラン②を急遽採用して、松野理事長と三ちゃんの2人は全力でオットセイ帰す係、ボクは観覧席に行ってショーの始まりを待っている大勢のお客さんに状況説明、およびオットセイの説明および言う事を聞かずにかなり困ってます、正直はらわた煮えくり返ってます、と説明。
「こんなのね、たまに見るからカワイイんですよ。毎日見てて世話してたら、正直それほど可愛くなくなってきますからね…」
うんうん、子供と一緒だね、と大きくうなずく一番前の席のお母さん。
そして遂に動きが!!
15時5分に三ちゃんの奮闘によりカイくんが部屋に帰りました!
「さぁ残るはメス1匹です!この1匹が帰ればついに!ついに!お待ちかねのアシカショーが始まります!!!」
とお客さんに解説。
15時10分、かいクンがいなくなってつまらなくなったのか、飽きたのか、ふうチャンは突然部屋に直行帰り。事態収束。一件落着。
ふうチャンが部屋に入って扉が閉まった瞬間、お客さんから「おぉ~!!!」という大きな声と、割れんばかりの大拍手。オットセイが部屋に帰っただけで、竹島水族館のこの夏一番の拍手をいただきました。
結局、10分遅れでラブちゃんの完璧なショーを開始。お客様、長い時間ありがとうございました!!
かいクン、ふうチャンはまだ子供なので遊びたいざかり真っ最中。いろいろなものに興味があるし、じっとしていられない年頃。逆にそんな興味をうまく使っていろいろな経験をさせたり、種目を覚えたりして、メキメキ元気に成長して早くショーで活躍してくれるようになるといいですね。